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保管場所と引き落としについて

1.TPiCSを導入するポイント2

TPiCSは当社のようなシステムインテグレーターを利用して導入される場合と、お客様が独自で導入される場合があります(折衷の場合もあります)。ここでは、TPiCSをなるべく独自に早く導入するには事前にどういった準備が必要かを解説していきます。(多少脱線する場合がありますのでご容赦ください)

1) 着手信号機オプションを使う(前回の続き)

在庫移動の中で「引落」の話に終始してしまいましたが、「複数ロケーション”4”を使うとラインサイドの引落しか定義できないですよ」という事になりました。それは、TPiCSの欠点でしょうか?これは必ずしもそうとは言えないと思います。この点はTPiCSの奥深い考え方が反映されています。さて、信号機とは何でしょうか?

作業着手信号機

機能は次のようなものです。(マニュアルを抜粋します)

このフォームは、現場の作業長さんにお使い頂く事を前提にしています。
フォームを開くと、その担当部門の”今日の仕事”が表示されます。自分が担当する部門の仕事だけが表示されるように、[ポップアップメニュー]-[設定]-[処理条件]-[絞込1]の「内容」に、担当の部門コードを予め設定して下さい。
[仮数]ボタンで、例えば先行き1週間の平均作業レベルを満たす作業に、仮の実績をセットすることができます。これにより、生産計画は、厳密に平準化されていなくても、厳密に平準化されていなくても、現場に対し毎日平準化した作業を指示することができます。その内容を見ながら作業を開始し、完了したら そこで“実績入力”を行います。
[注残データ]の中から、指定した「製造担当」あるいは「生産場所」のデータだけを表示し、それに対し実績をインプットして行きます。
“今日何をするべきか”“何ができるか”部品の裏付けのある計画を表示し 流れをスムーズにするのが目的です。前工程が終了していない等の理由で“今日やるべき仕事を着手できない”とき、「何が不足しているか」を確認して前工程に指示を出すこともできます。

この時のステータス(○×)の表記は前工程の「在庫」を見ているはずです。この在庫はどこの在庫を使用するのでしょう?
更に読み進めましょう。

3)複数保管場所の場合の○×判定
通常○×△印の表示は、引落明細データの「引落元」の在庫だけを見て判定されます。[システム環境設定]-[業務処理方法設定]-[着手信号機]-[共通]で「複数保管場所(複数ロケーション区分”3”“4”“5”を除く)のとき、着手可マークは合計した在庫数量で○×を表示する」設定をオンにすると、次の在庫を合算して判定します。
・払出アイテム(払出区分“2”“3”)の場合
・払出元と引落元の在庫を加算して○×判定します。
・払出アイテム以外の場合
・全ての保管場所の在庫を合算して○×判定します。ただし、複数ロケーション区分“3”“4”“5”のアイテムは、この場合も「引落元」の在庫だけで判定されます。

今お使いの状況で複数保管場所の機能を使用していないのならば問題は(少)ないのですが、奇しくも複数保管場所を使用していると厄介です。というか保管場所が1箇所の場合、前出の「着手と引落の在庫の差」の問題を受けます。
これをTPiCSで解消するにはどうすれば良いかというと、
※通常保管場所(在庫倉庫)とラインサイドという様に複数保管場所を設定します。
※TPiCSの「払出機能」を使い、通常保管場所⇒ラインサイドという在庫移動を定義します。(TPiCSのアイテムとして「払出」の指図を出す方法もありますが、在庫把握の点で少し違う考え方になります)

さて前回の問題点の図を再掲します。

現在庫とシステム在庫の食い違いが起きる部分

システムで把握されている在庫数と現場で捉える(実際の)在庫が違うという問題なのですから、それを在庫場所により区別してしまおうというのがこの考え方です。

信号機の有効範囲

払出により、材料倉庫とラインサイドの在庫に分けてしまう(システム的に分けるということもあり得ます)。また、着手信号機を使用して現場への在庫状況(着手の可否)は、ラインサイドへ在庫移動したものだけが着手可能になり、その点で在庫競合しないという運用方法が考えられます。これが着手信号機の一つの効果です。
※生産管理システム全般に言えることですが、この例のように、必ずしも生産管理システムのデータを全ての部門で共有する必要は無いという状況は多々見られます。この場合、生産計画担当者はこれから所要量計算するための在庫が知りたいでしょうから、(例えば)総在庫を把握したいでしょうし、各現場では自部門に割り当てられた在庫が知りたいと思うでしょう。
このように、同じ在庫という言葉で欲しいデータが違う場合があります。このためにTPiCSで表示されたデータがどのような動き(ロジック)出てくるのかを良く把握して、特に(生産)計画と現実(実績)の差をどう吸収していくかを検討しなければならないわけです。また、その上で矛盾が発生した場合どう判断するかを決めねばなりません。
(社内政治力の世界かもしれませんが。)

今回の冒頭の問題ですが(前回の図を再掲)

組めない例

ライン1とライン2は別計画、別指図で稼動しているわけです。そうするとこのライン1とライン2が互いに「在庫競合」するわけです。この状況で信号機を使うとすると、ライン1、ライン2のそれぞれに100台の作業指図が出ていた場合、例えば材料が100台分しかない場合、ライン1、ライン2それぞれに100台分着手可能のステータス(○)が出ます。
(それぞれが部品倉庫を引落元にするので)また、完成実績まで在庫は減りませんので、このままだと、どちらかのラインが100台分作れない事になります。
このような状況でどの様に運用していくかを決定していくかがTPICS導入の鍵になります。

今回の冒頭問題についてのTPICSでの回答はこうなると思います。

冒頭問題についての回答

※工場の実態は部品倉庫で一括でしょうが、信号機を使うためにはラインサイド(上記で言うとライン1、ライン2・・・・)の保管場所を作成して材料(部品)の払出を定義してください。
・・・・がひとつの回答になります。
⇒このときの問題は、このような運用をした時の手間(コスト)がこの内容を受入れるかです。
※もう一つの考え方としては、工程分割を止めてしまう(工程Aというアイテムを1つだけ作る)という方法もあるでしょう。この場合、各ラインへの配分は現場の担当者にお任せという形になりそうです。(このデータを受けてスケジューラで崩すという方法もありますね)
※製番を使うという方法も考えられます。この場合信号機のこの機能のありがたみは減ると思います。また、この場合は、純粋にf-MRPの恩恵(計画の自由度が高いというメリット)が減るという事とのトレードオフになります。

(以下続く)

※文中のTPiCSとは、TPiCS-X(正式名称)のことを指します。

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