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TPiCSのf-MRPの動き方

f-MRPの目的は、
 (1)速く、安く、受注変動にレスポンス良く
 (2)しかし、安定した生産が出来ること
です。 この考え方を少し整理してみましょう。

例えば、全てのアイテム(作業、部品)が前日に調達できるとするとどういう事になるでしょう?(下図)

まず画面の見方を解説します。
品目(TPiCSではアイテム)が一番左の列に並びます。(現在は製品構成順にソートしてあります)
ここで、本日は7/26から始まり(水色の縦の帯) 右に行くほど未来の日付(正確にはバケット)を表します。
また、カレンダー表示の赤色部分は休日でこの日は稼動しないので、所要量計算をしても原則的に数字が入りません。
横方向の帯が緑色のアイテム(B)は独立需要であり、黄色の帯(その他のアイテム)は従属需要になります。社内工程は当日製造、当日(子アイテム)引落、また子アイテムは親アイテムの前日が完成納期に設定されています。(図で見るとわかるように、親アイテムの前日に生産計画が立っているということです)
全てのアイテムの調達リードタイムは1日(すなわち前日手配)に設定してあります。上図で見ると、7/27に計画数のある、X、Y、Zの3品目のみを調達すれば良く、B、B1、B2は翌日以降に手配すれば良いことを表しています。
(実際、このようなマスターはあり得ないと思いますが、これはあくまで最初の設定でこれを現実的に変更していきます)

(1)まず、納入指示は何日前まで対応できるのか?
これは、上図を見て数えれば良いわけです。これは4日先です。

本日(7/26)に8/1納期の生産計画(製品B)を投入すると(計画上)は問題なく生産できることになります。また、この事は、8/1よりも未来の受注は(在庫を持たずに)対応可能だが、それより間(7/29など)は対応が出来ないものが出てくることを意味します。
実際にずらしてみましょう。
Bを⇒7/29へ移動させます。

手配が間に合わないというメッセージが出てしまいました(下図)。
本日手配の本日納品はできない(とマスター設定した)購入品 X、Y、Zが対象です。
これを、TPiCS用語でジャーナル(警告情報)といいます。(CSVファイルにも出力できます)ここには、対応可能日(7/27)も記載されています。また、影響のある親アイテムや受注を表示することも可能です。

3日先の新規生産計画では計画対応できないことが分かります。これをTPiCSの動き方で言い方を変えると、
「水色の部分(=計画確定期間)の計画数がプラス変更された場合に警告情報(ジャーナル)を出します。」
一般的には、「特急」ということです。
これをTPiCSはどのように判断しているかというと、TPiCSには「前回」行というものがあります。これは前回(以前も含む)の所要量計算で手配を掛けた数量が記入されます。今回の所要量計算で購入品Xは前回行が空白(ゼロ)なので生計(生産計画)行の差分(10-0=10)が「特急」という判断をします。

(2)もう少し発展しましょう。

購買品はなかなか短納期では持ってきてくれません。足長品(長納期品)などの対応はどうなるのでしょう?調達納期を、X、Yは7日、Zは30日にしましょう。
X、Yは本日(7/26)から数えて7コマ目の8/4に灰色の窓が開いています。

購入品Zは9/6まで伸びます。この状態ではいつまでの受注を(ダイレクトに)受けられるのでしょう?

購入品Zの影響で9/9まで手配が間に合いません。

お客様からの納期が稼働日ベースで34日あれば(配送リードタイムは今回計算していません)、無在庫でこの工場を運用できます。ところが、お客様からの納期はもっと短い事の方が多いと思います。
それでは、Zは先行手配していた在庫があったとします。とりあえずは20個あれば良いわけです。(7/29の計画が残っているので)今回は、計画外実績で入庫し再計算します。

在庫行を表示すると在庫の動きが分かります。8/5に親品目B1に引落されて在庫が0(空白)になります。(これでは、新たな追加生産を入れられません)
また、Zの在庫があれば、製品Bは11日で手配できることになります。
すなわち、この対応には計画在庫が必要ということになります。この手配に関して、

(1) 購買担当者によりマニュアルで手配する
(2) TPiCSの「基準在庫」を使用する

(1)の方は各社各様の決定方法があると思います。ここでは、TPiCSの独特な動きをする(2)の「基準在庫」の動きを追いましょう。(例えば、基準在庫を設定しなければ、よくある普通のMRP的な動きになります)
基準在庫は安全在庫と似た動きをしますが、詳細を追っていくと全く別の動作をします。
研修会資料に以下のような図があります。
在庫量は、最小在庫≦生産量≦最大在庫(最大在庫設定は任意)で指定できます。
そして、(計画)確定期間内の新規注文に対しては、予め設定した「基準在庫」で補填し、その不足分は確定期間が空けた日付に(即日)補充手配を掛けます。

今までの図を見てお分かりのように、TPiCSでは各アイテムの手配するタイミングを個別に設定します。生産計画表の水色部分の幅がそれぞれのアイテムで異なることでイメージできるでしょう(マスター設定で変わることもご理解いただけていると思います)。
基準在庫は、この幅に対して有効です。2日の幅のところは、2日で間に合わない数量を入力します。30日のところは30日で間に合わない数量を入力します。そして、この在庫は間に合わない時に補充します。
(以下見てみましょう)

購入品Xに基準在庫を100設定します。実際の有効数は100(基準在庫-最小在庫=100-0=100) ロットサイズは10個単位です。
また、在庫0では動作が分かりませんので、在庫に100個計上します(ちなみにTPiCSでは複数の保管場所を設定できます)。

今回ポイントになる購入品の在庫状況です。

8/9に製品Bの計画を入れて計算します。Zは在庫から充当されます。在庫のある購入品Xが引き当たっていません。

8/5に追加オーダーが入りました。

ここでの動きを説明します。8/5の計画投入で、購入品Xは本来8/2に必要になります。同じリードタイムのYは、在庫が無いので8/2に計画数が入り、警告が出ます。

購入品Xはここで初めて在庫補充されました。

購入品X、Yは親品目B1に8/3と8/5に引落しされます(それぞれの引計行)。そのために、B1の生産日の前日(8/2)にそれぞれの子品目が入荷されるマスター構成になっています。Xは8/2に関しては新規手配をせずに、8/4の手配可能日に、「基準在庫」の補充分の数量10と、8/9の製品Bから展開された数量10の合計20を手配します。
さて、ここで今回の計画を手配し確定します(TPiCSの処理では伝票発行で確定処理ですが詳細は今回省きます)。
さて、今回基準在庫を少し充当しましたが、計算上の在庫最小値はどのように判断すればよいでしょうか?これは、アイテムマスターの在庫最小値を見ると把握できます。

「今回在庫最小値」は、今回の所要量計算での最小値、「在庫最小値」は今までの計算で記録したワースト値になります(Xの在庫最小値90は前掲の生産計画表の在庫最小値90によります)。

さて、基準在庫の動き方について説明しましたが、基準在庫と安全在庫の差を少し説明しましょう。

(3)更に使い込む、在庫最小値が正(プラス)では基準在庫の意味がありません。更に追い込みます。

1日経過して、7/27になりました。また、灰色の部分が出現します。8/4にBの追加注文100がきました。入力して(f-MRP)計算します。

先ほどと同様にアイテムXの動きを追ってみましょう。

在庫が無ければ手配の掛かる日(8/1)は、「基準在庫」が充当されました。その為に以前のオーダー(製品B8/5、8/9 分)から計算された数量20 が繰り上がって8/2 になっています(?)なぜ20 なのでしょう?ジャーナルはどうなっているのでしょう。

X については、前回に確定した8/4 の数量20 を8/2 に変更(繰上げ)しなさいという表示です。もう一度上記生産計画表(の下の注残の部分)を見てみると、8/4 納期で既に手配したXX0003 を8/2 に繰上げる指示です。(生産計画表上はもう数字が動いていますね)これは、このアイテムの「繰上方法」が設定されているからです。この意味は、計画確定期間内で、新たな受注や計画変更が発生した時に、なるべく既に手配した発注を工面して新規発注を抑えようとするものです。

現実問題として、既に確定注文が入っていても1 週間の単位の中で集計すると、生産総量は同じなのに出荷日が当初計画から微妙に変わると言う事は十分考えられます。それを、所要量計算する事によって新規手配が掛かるのでは余計な在庫を作る原因となります。TPICS ではそれを調整する計算方法が用意されています。(ただし、今件のような購入品の場合は納入業者さんの了解が必要です)

外した結果は以下の通りです。(8/4 の20 は確定のため未変更、8/5 の基準在庫補充で帳尻が合う)

購入品X は8/2 に特急注文が出ます。(伝票発行⇒計画確定をします)

8/2 の特急注文のために、基準在庫を充てても数量10 足りませんでした、これが在庫最小値に現れています。理想は、限りなく0 に近い事ですがマイナスを避けると在庫が過多になってしまいます。匙加減が難しいところです。また、特急注文が出ると特急(注文)件数が記録されます。これは「基準在庫改善」機能でクリアできます。

(4) 基準在庫改善機能を使ってみましょう

アイテムマスターから「基準在庫改善」機能が呼び出せます。
(以下は機会を改めて解説したいと思います。)

※文中のTPiCSとは、TPiCS-X(正式名称)のことを指します。

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